社会政策
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小特集3■生活困窮者支援策についての日韓比較研究
韓国の勤労貧困層(Working Poor)に対する勤労連携就業支援政策からの考察
許 賢淑
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2016 年 8 巻 2 号 p. 94-101

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抄録

 2000年度基礎生活保障法が施行されて勤労貧困層の脱貧困を支援するために自活事業も導入された。自活事業は過去10年間ある程度の成果もあったが,自活事業に参加する受給者の経済的自立だけを目標にしてきたため就業成果と脱受給率が低調しているという非難を避けられなかった。 こういった問題意識から既存の自活事業から脱皮した新しい類型の自活事業を模索するようになり成果管理型自活事業である希望リボーン事業が導入されるようになった。 2009〜2012年までモデル事業として希望リボーン事業が導入後に既存の自活事業を含めた全体的な脱受給率も少しずつ上昇する成果があった。希望リボーン事業は既存の自活事業で見られなかった成果契約方式の導入と共に1:1で個人に合わせたケースマネジメントを行い,資産形成支援事業(希望育て通帳)と連携して積極的勤労誘引政策を試行して勤労動機を与えた。 希望リボーン事業の示唆点は勤労貧困層に対する就業支援の際に受給者の経済的自立だけを目標にせず,彼らが持っている複合的な問題を除去し自立できるように支援の目標を置くことである。希望リボーン事業の意義は受給者の経済的∙社会的自立において効果的な政策方向を模索することにある。

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