社会政策
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小特集3■生活困窮者支援策についての日韓比較研究
韓国における中間的就労の動向
―国民基礎生活保障法の施行以後を中心に―
權 順浩
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2016 年 8 巻 2 号 p. 102-113

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抄録

 本稿の目的は,中間的就労がどのように展開し,変遷してきたのか,政策動向を明らかにすることである。政策動向は,①中間的就労の対象,②支援プログラム,③伝達体系の3点に着目して検討を行った。 韓国における中間的就労は,2000年に基礎法の施行とともに制度化・体系化された。その後,展開した政策の特徴は,①支援対象を基礎法受給者だけではなく,次上位階層や就労困窮者まで拡大したこと,②一般労働市場への就労を促すため,さらに成果主義を中心とした個別支援や就労インセンティブ等を強化する一方,社会適応プログラム等,就労困窮者に必要な福祉的支援を縮小する傾向がみられていること,③伝達体系の役割や機能を明確化・体系化する一方,保健福祉部の役割よりも雇用労働部の役割を次第に大きくしている傾向があること,の3点である。こうした特徴から,韓国では,社会福祉的な中間的就労が狭めていると考えられる。

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© 2016 社会政策学会
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