社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集■障害者雇用の質的向上
QOLの観点に基づいた韓国の障害者雇用促進制度
South Korea’s Disabled People Employment Promotion System from the QOL Viewpoint
權 偕珍
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2017 年 8 巻 3 号 p. 106-119

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抄録

 韓国の障害者雇用促進制度・政策の設計や評価を行う際に,当事者である障害者自身のQOLを考慮して評価した研究は見当たらない。障害者の雇用は障害者のQOLに影響を与える重要な要因の一つであり,したがって,障害者雇用促進制度・政策をQOLの観点に基づいて分析することが必要であると考えられる。そこで,本研究では,第1に,韓国の障害者雇用法制の変遷,内容や現状を把握し,その特徴について整理する。第2に,QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策評価尺度を用いて韓国の障害者雇用促進制度・政策を評価する。第3に,評価結果を踏まえ,QOLの観点に基づいた制度・政策を考察する。評価の結果,QOL―EPATの領域のうち,「心身の健康」の領域が53.06%で最も低く,この領域の項目はいずれも3点未満で,「雇用の安定性」や「生活の安定性」の領域の項目と比べて低い評価であることから,「心身の健康」に関する制度・政策の整備が必要であることが明らかになった。

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© 2017 社会政策学会
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