社会政策
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特集■福祉の市場化を問う
市場化が進む保育施策と保育労働の実態
清水 俊朗
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2018 年 9 巻 3 号 p. 29-43

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抄録

 「すべての子ども・子育て家庭を対象に,幼児教育,保育,地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図る」ことを目的に,2015年に子ども子育て支援制度がスタートした。しかし,2016年に「保育園落ちた日本死ね」のブログが話題になったように,その後も保育所の待機児童問題は解決せず,保育士不足も未だに深刻である。 福祉の市場化との関わりで言えば,子ども子育て支援制度は,児童福祉法第24条第1項に規定された「市町村の保育実施責任」を撤廃し,園と利用者(親)による直接契約制度に移行させることで,保育における公的責任を後退させ,企業参入など市場化を目指すことが真の目的であった。 本稿では,そのなかでも保育士不足の問題に焦点をあて,全国福祉保育労働組合が実施したアンケート調査を基に保育士の労働実態を明らかにするとともに,政府が保育士確保対策として進めている労働施策について言及し,問題提起をしていきたい。

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