抄録
著書出版もプロジェクトの一種である. 本稿では, 最近出版された二つの著作の成立過程に着目し, それらが仕様学のあるスキームの適用例とみなされることを示しつつ, それらの対比の中で, プロジェクトマネジメントの知識体系や諸科学分野の知識体系とは独立な仕様学の意義を浮き彫りにする. また, このスキームがきわめて一般的でありながら, 現実的にかなり有効なツールとなりうるであろうことを示すと同時に, ある種「素朴な」疑問・設問がプロジェクトの達成に対して持つ現代的意義について考察する. また, ここで用いた例に登場する三者の役割を考察した上で, 将来の価値連鎖社会を垣間見る.