抄録
プロジェクトにおける品質の報告は多いが, そのほとんどが, 方法論やプロセス及び標準化といった類の議論である。また, 品質活動に関してはテストを中心とする話題が多い。しかし, プロジェクトの上流において品質を意識してコントロールしようとするならば, それだけでは不十分である。本稿では, まず, 筆者が携わったソフトウエア開発プロジェクト前半における品質活動を紹介する。次に事例における多くの失敗と少ない成功の経験を通して, いくつかの品質活動の特徴を解説し, その計画の立て方と運用上の考慮点を考察する。さらに, 技法やプロセスではカバーしきれない部分も含めて, プロジェクト上流における品質管理とは何かということを考察し, その本質的な部分をさぐっていきたい。