抄録
急速に変化する顧客のビジネス戦略,ニーズ,課題に対して最適な解決策をソリューションとして迅速に提案することは,システムエンジニア(以下,SE)の重要な任務の一つである.特に他社との競合力を強化する為には,SE個人の能力・技術向上に加え,組織としで1青報を有効に活用することが重要である.しかし,成果物となるドキュメント,プログラムや,業務遂行上参照すべき技術情報,顧客情報等を一元管理し,検索できる情報共有システムを企業内で構築・運用しても,情報が少ないから利用しない,利用しないから情報が蓄積されないという悪循環が発生し,SEの生産性,効率向上に繋がる運用に至らないままシステムが陳腐化する場合が多い.我々は,この問題を解決すべく,SE業務を支援する情報共有システムとして,(1)管理者による文書登録管理の運用体制の整備,及び(2)分類体系に基づく文書の関連付けによる横断的な検索機能の2点を特徴とする情報共有システムを開発し,SEの現場において適用し評価を行なっている.本稿では,この情報共有システムの概要と,情報共有を更に促進する為に解決すべき課題について述べる.