抄録
情報システムの有効性を高めるには,システム要件を戦略と適合させることが必要である.このような背景から,バランス・スコアカード(BSC)のようなモデリング手法がシステム開発の上流工程で活用されている.しかし,策定するBSCの妥当性を高める方法,また,策定したBSCを下流工程に活かす手法は確立されていない.本稿では,情報システムの導入効果の評価指標を戦略目標と関連付けて設定し,また,戦略をシステム開発に組み込む考え方(Value driven collaboration engineering : VDCE)を提案し,その中で行う,現場の事実に基づいてより妥当性の高い評価指標の設定を行う手法(Fact based collaboration modeling: FBCM)の手順を説明する.