抄録
本論文では,多様なプロジェクトを遂行するSIベンダーにおいて,継続的プロセス改善を推進するための活動モデルを提案し,これを実際に組織に適用,評価した結果を示す.組織目標達成には課題となるプロセスを改善することが重要である.しかし,SIベンダーでは各部門やプロジェクトが個別の特性や課題を有するため,改善施策の一律な適用は必ずしも有効ではない.一方で,各部門への定着を促進するためには,プロセスの導入に際してのオーバーヘッドの抑止など,組織的な対策もまた必要になる.そこで,我々は適用にあたっては組織方針に基づきながらも,部門の自律的な活動を重視したプロセス改善の活動モデルを提案する.このモデルを適用した結果,実際のプロセス改善活動においても有効であること,施策の効果は時間と共に限界に達するため継続的な施策の評価と改善が必要であることが分かった.