抄録
技術革新や社会・経済状況の激変する現代において,「伝統的なプロジェクト管理手法は,実際のプロジェクトを上手に管理するためには限界がある」という議論が行われている.これらの議論の中心は,変化や複雑性をそのまま認識してプロジェクトを扱う複雑性のマネジメントである.そして,複雑性としては,プロジェクトを構成する要素の数やその関係の複雑さだけでなく,プロジェクト目標や成功への筋道などプロジェクトの方向性がメンバに共有されない状態など,より人間系に関わる要因が含まれている.そのため,プロジェクトを成功させるためには,従来のような管理的な方法(計画・命令・把握・コントロール)ではなく,プロジェクトメンバーにプロジェクトの道筋を示し,メンバのやる気を引き出すPMのリーダシップが重要であると考えられている.本稿は,これらの議論をPMコンピテンシーの観点から考察し今後のPM育成のヒントを探る.