抄録
プロジェクトのリスクマネジメントには,課題や問題を発見するリスク感性が求められる.リスクマネジャはプロジェクトのフェーズやステークホルダーごとに想定されるリスクを抽出(特定)するスキルが求められる.ケースメソッドという教育手法を用いて,現実の事象を取り上げ,ディスカッション・ディベート形式でプロジェクトのリスク抽出の実践を行った事例を紹介する.さまざまな立場や視点に立って,事故が発生したときどのような対応を取ればよいかを疑似体験しながら実践的に対応を学ぶことが可能となる.意見の整理の仕方に,ステークホルダー分析や,SWOT分析の枠組みを取り入れることによって,そのままプロジェクトマネジメントのツールとして活用することも可能である.教材の質に議論は左右されるが,教育効果も高いことが明らかとなった.ケースメソッドは,プロジェクトのリスクマネジメント人材養成のグッドプラクティクスである.