抄録
製造業では,市場競争を勝ち抜くために品質,コスト,納期を改善することは必須の課題であった.熟練技術者による改善には限界があるため,問題点を数値で把握しプロセスを改善する計数管理の手法が発達した.トヨタ生産性方式の「見える化」は仕事の様子や問題点が常に見えるように工夫することであるが,問題点を可視化すると,現場と管理者の双方に「カイゼン」すべきポイントが明確となり変革を推進する原動力となる.このことはソフトウェアの開発運用にも適用できる.本稿は,多次元モデルのデータベースを活用した集計報告システムの本質を示し,これを計測管理に応用する有効性を論述する.さらに,計測管理を効果的に活用する方法を示し,幾つかの統計的分析手法を組み合わせて測定プロセスを改善する手法を提案する.