抄録
本稿では,プロジェクト人的資源マネジメントとプロジェクト・リスク・マネジメントの観点から,動機付けにかかわるプロジェクトマネジメントの現状を考察する.現代のプロジェクトマネジメントにおける動機付けの理論としては,マズローの欲求段階説,マクレガーのX理論Y理論,ハーズバーグの動機付け・衛生理論の3つの理論が主流となっている.しかしながら昨今のプロジェクト現場においては,気質や意識の変化から,これら伝統的な動機付け理論の適用ができないケースに遭遇することがある.そうしたケースはプロジェクト・リスクとなり組織やプロジェクトは対応をとる必要がある.オフショア活用のような明らかに多様性のあるチーム編成の場合のみならず,全てのプロジェクトにおいて,動機付けをリスクと捉えプロジェクト開始時からリスク対応計画を具備しておくことが,現代のプロジェクトでは必要である.