抄録
システム開発において,定量的なプロジェクト評価が望ましいとされながらも,実際にデータを用いた分析を行うためには様々な問題がある.特に,データ評価者の視点やスキルの違いにより分析の結果そのものが違ってくる点が挙げられる.過去に取り纏められたデータとしての指標値と,現在進行形のプロジェクトにおけるデータとを,様々な前提条件の差異を考慮して評価する必要があり,この評価方法は個々人のメンタルモデルに委ねられていると言える.また,データの取得に要するコストについても問題となっている.本研究においては,プロジェクト実行フェーズにおいて,プロジェクトがうまくいっているか否かの状態を定量的に把握しモニタリングする仕組みを提示する.データの取得し難い項目に対しては,モデルによって補うことを提案する.組織力モデルに基づいて,チームのパフォーマンス評価の指針となるシナリオを提示することで,より良い意思決定を支援する.