抄録
ソフトウェアのシステム開発において,お客様の要求を適切に把握し,実現させることは非常に大切なことである.しかし,上流工程における要求分析が不十分であるためにシステム開発に重大な影響を及ぼすことは多い.リスクを十分に洗い出したとしてもそれに対する対策が不十分では,お客様が望む品質を確保したとはいえない.システムや製品が望ましい性質をもち,危険な状況に陥らないことを保証することは,特にお客様から望まれている.そこで本稿では,リスクに対して,保証できる範囲を明確にし,顧客と議論の上で合意を得る手順を示す.問題の解決に必要な手法として,保証(アシュアランス)ケース(ISO/IEC15026)を用いて,プロジェクトマネジメントにおける要求リスクを考慮した保証ケースを提案する.