抄録
政府は,東日本大震災の影響による夏期電力不足の対策として,2011年5月電気事業法第27条に基づき電気の使用制限を発表した.企業対応においては,15%の節電要請や計画停電実施の可能性へのリスク対応が求められた.特に,サービスの提供を維持することをメニューにしたデータセンターの事業運営に大きく影響が発生しかねない課題への対応が必要であった.課題解決のため我々は以下を整備した.電力削減スキームの早期実現を可能したステイクホルダーとのコミュニケーション方法、節電目標達成を目的とした電力使用量の見える化システム活用方法,計画停電実施時に向けたコンティジェンシープラン策定及び需給逼迫警報を発端とするブラックアウト時に備えた対応方法.本プロジェクトにより我々は、サービス品質レベルを担保しながら電力総量規制の目標を達成することができた。本稿では,サービス中断のリスク低減のため導入した予防処置とその実行の教訓を紹介する.