抄録
トップ・エミッション構造の有機Electroluminescence(EL)素子として、電子輸送層の有機膜であるキノリノールアルミニウム錯体(Alq3)上に透明導電膜であるITO膜を陰極として形成した際のITO膜とAlq3膜の界面の化学状態を硬X線光電子分光法(HAXPES)により調べた。角度変化測定により検出深さを変えて測定した結果、Alq3膜上にITO膜を成膜するとAlq3膜の深い領域(内部)は変化しないが、浅い領域(ITO/Alq3界面近傍)ではAlq3の分子構造が変化することが確認された。ITO成膜時のAlq3の変性は、ITO成膜前にAlq3膜表面に極薄LiF膜を堆積しても抑制できなかったため、性能向上のためのさらなるプロセス改善が必要であると考えられる。