SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section A
7・8世紀出土瓦・施釉瓦胎土色と鉄イオンに関する研究
降幡 順子神野 恵石田 由紀子岩戸 晶子清野 陽一丹羽 崇史伊奈 稔哲宇留賀 朋也
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2022 年 10 巻 2 号 p. 137-142

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抄録
 7・8世紀の瓦資料を測定対象として、焼成時の酸化還元の影響に関する情報を得るため XAFS 測定を行った。資料は軟質胎土で、胎土色は、白色・灰白色・黄白色・赤褐色と幅広く、特に灰白色・黄白色胎土は、鉄含有量との相関が明確ではない。これまで奈良三彩を主対象とした胎土色と XANES スペクトルの比較を試みたが、胎土色や鉄含有量に関係なく類似するスペクトルが得られ、焼成条件に関わる酸化還元状態については、赤褐色胎土でその傾向を僅かに示すにとどまった[1]。今回調査する7世紀藤原宮出土瓦資料の XANES スペクトルは、奈良三彩と比較するとスペクトル形状に異なるものがあり、胎土色・鉄含有量との相関が得られるのではないかと考え実験を行った。その結果、プレエッジピークの相違から3群に大別でき、それらの胎土色と鉄の価数には相関があることがわかった。さらに例外的な資料が集中する範囲設定の方針が見えてきた。
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