抄録
最近、主に脊椎動物の血液中で酸素運搬として機能するヘモグロビンが、ハプトグロビン等と結合するとペルオキシダーゼ活性などの酵素活性を示す報告がなされている。しかし、古くから研究されているヘム酵素機構(高原子価鉄オキソ錯体の生成と触媒活性発現)から、ヘモグロビン本来の立体構造のままではそれは難しいと考えられる。本研究では、そういったヘモグロビンにおける酵素様活性発現時ならびに電子伝達時の構造的基盤の解明を目指し、ヘモグロビンの構造遷移を誘発するアロステリックエフェクター分子の有無での予備的な速度論的ならびに構造解析を行った。