抄録
有機導体 (ET)Ag4(CN)5 は、+1価の ET ラジカル分子がダイヤモンド格子を形成し、ハーフフィールドバンドを持つことから、3次元 Dirac 半金属の候補物質と考えられるが、常圧下では強い電子相関によって電荷が各 ET サイトに局在した Mott 絶縁体となっている。本物質に超高圧を印加することにより、Mott 絶縁体から3次元 Dirac 半金属への相転移が期待されるため、ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高圧下での中赤外領域の反射スペクトル測定を行い、分光学的な観点から超高圧下における電子状態変化の観測を試みた。