抄録
硬X線光電子分光法 (HArd X-ray PhotoElectron Spectroscopy : HAXPES)では、光電子放出に伴う材料表面の帯電により、光電子スペクトルのピークシフトやブロードニングが発生し、測定精度が低下する課題がある。帯電の緩和には、試料の接地や低エネルギーの電子線照射による電子の補償または入射X線強度の低減による光電子放出量の抑制などの対策が必要である。今回、帯電緩和を目的として、BL16XU の HAXPES 装置にX線シャッターを設置した。SiO2/Si 基板および SnO2 粉体で検証した結果、帯電緩和効果があることを明らかにした。特に、SnO2 粉体ではアッテネータよりも帯電緩和効果が大きかった。