X線1分子追跡法は、ナノ結晶をプローブとし、プローブ周囲の動的性質をナノ結晶・回折斑点の動きとして捉える手法である。その高精度性、高時間分解性からタンパク質分子の内部運動を精緻に計測する手法として期待される一方で、高速測定時における高輝度X線入射の試料ダメージが問題視されている。本課題では、低ドーズかつ高速計測を実現するために、Timepix 検出器のフォトン到達時間モードの活用について検討した。フォトン到達時間モードでは検出器の各ピクセルに入る個々のフォトンの到達時間を 20 ns といった高時間分解で記録することが可能で、高時間分解、かつ高効率にナノ結晶の方位変化をモニターすることが見込まれる。