Ｘ線結晶構造解析による酸素発生型光化学系 II 内の陰イオンの研究

抄録

　塩素イオン（Cl^-）は、光化学系 II（PSII）の酸素発生反応に必須な補欠分子の１つであり、酸素発生中心である Mn₄CaO₅ クラスターから PSII の外側にプロトンを放出する反応に関与する。PSII 内の Cl^- は臭素イオン（Br^-）やヨウ素イオン（I^-）と置換可能で、Br^- に置換すると PSII の酸素発生活性は維持されるが、一方で I^- に置換すると、PSII の酸素発生反応は完全に阻害される。本研究では、I^- に置換した PSII（I-PSII）のＸ線結晶構造解析を行い、I^- による PSII の酸素発生反応阻害のメカニズムを調べた。