抄録
紅色非硫黄細菌 Cereibacter (Rhodobacter ) sphaeroides 2.4.3 は、細胞内に自身のエネルギー変換系として光化学系や嫌気呼吸系(主に脱窒系)を持ち、その系内の電子伝達タンパク質としてはこれまでブルー銅タンパク質を持たないと考えられてきた。しかし、最近の本菌株ゲノムデータの再調査をした結果、未報告のブルー銅タンパク質候補遺伝子を新たに発見した。その予想される該当候補タンパク質の相同性解析から、ブルー銅タンパク質の1つであるシュードアズリンと比較的高い相同性を示すことがわかった。本研究ではその該当タンパク質の大腸菌を用いた組換体発現と紫外可視吸収スペクトル測定ならびに予備的X線結晶構造解析により、本タンパク質が分子内部に典型的なブルー銅部位を持ち既知のシュードアズリンとよく似た構造を持つことを確認した。