抄録
汎用の顕微赤外分光装置で評価が困難な成分滲出(ブリード)性ゴム中の有機系微小粒状物を、放射光を用いた透過法配置マッピング測定により検出し、90℃ 昇温履歴を繰り返し加える度に変化する様子を調べた。検出に用いた化合物の吸収ピークにより、初回の 90℃ 昇温履歴を加えたのちには注目する化合物が粒状物粒外まで多量に拡散するが、2回目の昇温履歴後には粒状物粒内に僅かに残るのみとなり、更に3回目の昇温履歴を加えてもそれ以上変化しない様子が観察された。このことから同化合物は粒状物粒外まで容易に拡散・変化する成分が、90℃ では容易に拡散しない成分の核を包むようなコアシェル構造を有することが示唆された。