抄録
Zn 系めっき組織や腐食生成物の非破壊観察技術の確立を目的として、複合サイクル腐食試験(塩水噴霧、乾燥および湿潤の繰り返し)を行った Zn-5%Al 合金めっき鋼板に対してX線ラミノグラフィー測定を行った。2種類の入射X線のエネルギーで実験を行い、腐食生成物の構造を鮮明に観察するための測定条件を検討した。結果、いずれのエネルギーのX線でも腐食生成物と空隙の明瞭な識別と、腐食生成物の種類の違いを形状の違いとして見分けることができた。一方で検討したX線エネルギーでは、腐食生成物の種類の違いを像コントラストの違いとして識別することはできなかった。また、両者のX線エネルギーにおける空隙部と腐食生成物とのコントラストは、線吸収係数の違いほど大きな差にならなかった。再構成画像の鮮明さは線級数係数の大小で一義的に決まるものではなく、試料の厚さと入射X線のエネルギーとのバランスが重要であると考えられる。