抄録
DNA 周辺での Rb+ および Sr2+ の分布について、各カチオンの K 吸収端近傍の入射X線を用いた異常小角X線散乱により検討を行った。Rb+、Sr2+ は、DNA の周辺に二重らせんの軸方向に沿って、それぞれ数密度 2 nm-3 および 1 nm-3 に濃縮されることが分かった。また、Sr2+ の方が Rb+ より、コンパクトに DNA 周辺に濃縮されることが分かった。さらに、DNA が対カチオンとして Rb+ を持つとき、Sr2+ を共存させると、Rb+ が Sr2+ へ交換されるが、DNA 周辺の対カチオンの電荷が一定に保たれることが分かった。