抄録
表面が広く平坦な基板結晶と別の基板結晶上に薄膜単結晶をエピタキシャル成長させた試料について、放射光X線マイクロビームを用いたすれすれ入射X線回折実験を行い、基板結晶表面および薄膜単結晶からの回折X線強度を測定した。基板結晶は表面サイズ1.10×0.99 mm2、表面の凹凸0.15 μmであり、エピタキシャル結晶は表面サイズ0.64×0.45 mm2、表面の凹凸1.0 μm、膜厚は1.4 μmであった。測定した積分反射強度についてLp補正と吸収補正を行い|Fo|2を求め、結晶構造から計算した|Fc|2と比較してR(F2)を求めた。基板結晶ではR(F2)=0.04~0.10、薄膜結晶ではR(F2)>0.53であった。しかし、薄膜結晶について適切に測定された反射のみではR(F2)=0.03~0.10であり、広く平坦な結晶では表面層の単結晶構造解析が可能であることが示された。