SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section B
14 keV励起硬X線光電子分光法を用いたナトリウム電池用電極の表面被膜および内部構造の解析
駒場 慎一久保田 圭山際 清史中野 健志孫 珍永崔 芸涛陰地 宏
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2015 年 3 巻 2 号 p. 575-578

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抄録
我々はこれまで、ナトリウム(Na)イオン電池用ハードカーボン負極において、結着剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いることにより、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を使用した場合よりも電池特性が大きく向上することを見出してきた[1]。本研究では、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)負極上に生成する被膜について、BL46XUにおける硬X線光電子分光(HAXPES)測定でこれまで主に利用されて来た8 keVよりも、更に1.5倍以上高いエネルギーを持つ14 keVの硬X線を励起光として用い、結着剤による被膜成分の違いを表面から更に深い領域にかけて詳細に調査した。今回得られた14 keV励起HAXPESの結果と、別途測定した8 keV励起HAXPESおよび実験室X線源(Mg Kα線:約1.3 keV)を用いた軟X線光電子分光法(SOXPES)の結果を比較することにより、PVdFを結着剤として用いた場合はPVdFや添加剤FECが分解し、CMCを用いることにより電解質NaPF6の分解が顕著に抑制されることが確認できた。
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