抄録
化粧品の有効性を評価することを目的として、現在様々な試験が行われているが、特に真皮に関しては、コラーゲンゲルを用いた三次元培養系が用いられている。本課題では、より生体に近い培養環境の構築とその評価系の確立につながる情報を得る為に、皮膚組織およびコラーゲンゲルの極小角および小角X線散乱を測定した。その結果、皮膚組織においてコラーゲン線維の径や65 nmの周期に関する構造と思われる回折を捉える事ができた。コラーゲンゲルの回折プロファイルは皮膚組織とは異なるものであったが、対応していると思われる回折がいくつか得られた。また、コラーゲンゲル内のⅢ型コラーゲン比率の変化に伴いゲルの回折が変化することから、コラーゲンの組成によってコラーゲン線維構造が変化していると考えられた。