SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section B
界面活性剤処理によるヒト皮膚角層の構造変化の小角・広角X線散乱法を用いた解析(第4報)
久米 卓志坂井 隆也加賀谷 真理子宮崎 敦史藤井 亮輔小野尾 信山田 真爾太田 昇八田 一郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 4 巻 1 号 p. 98-101

詳細
抄録
これまでに我々はSPring-8の高強度X線の利点を生かし、界面活性剤溶液浸漬後の短時間(数分〜1時間)での角層のソフトケラチン構造の変化に着目し、とくに q ≈ 6 nm−1近傍に見られるプロトフィブリル由来の散乱ピークについてX線散乱法を用いた解析検討を行ってきた。しかしながらさらに高次の構造であるミクロフィブリル構造(q ≈ 0.5–1 nm−1近傍)の観測には、X線散乱法では活性剤ミセルの散乱が妨害となる課題があった。そこで角層細胞内でのケラチン線維の配向を利用した積層角層シートでの2次元散乱解析により、ケラチン線維構造を評価する手法の検討を実施した。その結果、垂直・平行方向とも散乱プロファイルにミセル由来のピークは重畳しているが、ミセル由来ピークよりも垂直方向の角層構造由来のピークは十分に強く現れ、積層角層シートを利用した2次元散乱解析の有効性が示された。
著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top