抄録
イオン液体1-ethyl-3-methylimidazolium hexafluorophosphate [emim][PF6]のナノ薄膜に対し、温度可変微小角入射広角X線散乱(GIWAXS)による測定を行った。その結果、[emim][PF6]の膜厚8 nmをしきい値として、結晶化する事が明らかとなった。これは、[emim][PF6]が8 nm以下で擬似液体層として存在する事を示唆する。また、硬X線光電子分光測定(HAXPES)により、イオン液体1-octyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide [omim][NTf2]を介した真空蒸着法により成膜されたペンタセン単結晶薄膜へのイオン液体吸着挙動を調べた。その結果、イオン液体は主に基板/ペンタセン結晶界面に浸透して存在する事が明らかとなった。