抄録
高炉水砕スラグ中の化学成分量や製造条件(温度)が、高炉スラグのガラス構造に及ぼす影響を把握するため、XAFSを用いてガラス中のCa、Ti、Mnの配位数などを解析した。その結果、主要成分であるCaの配位数は、ガラス化率100%のもので概ね6配位であり、化学成分量が異なっても余り変わらない可能性が考えられた。一方、結晶相が一部確認された系ではやや大きくなる傾向であった。また、Tiの配位数は概ね5配位、Mnの配位数は明確にはできなかったが、一連の測定結果からは含有量によらず一定であると推測された。これらの結果から、化学成分量や製 造条件を変えた高炉スラグにおいて、結晶相が一部生成する状態になるとCaの配位数が若干大きくなったが、結晶相が存在しないガラス化率100%の状態では今回着目した原子のガラス中での配位数などは余り変わらないことが確認でき、硬化特性の違いには別の要因が関係していると推察された。