抄録
(Fe, Ni)-Cr-Al合金表面上に生成するAl2O3皮膜の生成・成長挙動に及ぼすCrの影響を構造解析により検討し、Cr添加によるAl2O3皮膜形成に必要なAl濃度の低減機構を検証した。本実験ではFeおよびCrの両者がAl2O3スケールの形成および相変態に及ぼす影響を区別し、Crの影響のみを検討するため三元系Ni-Al-Cr合金を用いた。Ni-14Al-20Cr合金表面には酸化の初期にCr2O3が生成し、その後準安定Al2O3スケールが形成することなくα-Al2O3スケールが生成した。一方、Ni-14Al合金にCrコーティングを施した試料表面には酸化の初期にCr2O3が生成するが、その後スピネル型NiCr2O4スケール→NiOが順に生成し、Al2O3スケールは生成しなかった。