抄録
アポトーシスを誘発したHeLa S3細胞の単離核を赤外顕微分光ビームライン(BL43IR)の試料セルに封入し、赤外顕微分光測定を行い、得られたスペクトルを解析することによりDNAの断片化過程を調べた。アポトーシスを起こしていない正常な細胞核および、アポトーシスの進行を制御した細胞核を用い、リング形状、ネックレス形状、崩壊状態のそれぞれの各ステージにある個々の細胞核の赤外線吸収スペクトルを測定した結果、アポトーシスによる強度の減少が指摘されている 1000 cm-1付近の PO2- モードのスペクトルにアポトーシスのステージによる特徴的な差異が確認できた。