抄録
シリカ充填ゴムに周期的なせん断変形を与えながら、時分割超小角X線散乱と粘弾性特性の同時測定を行ない、ゴムの内部構造と粘弾性特性の関係を調べた。ゴムに50%せん断ひずみを周期的に与えても散乱プロファイルに変化は見られなかった。せん断ひずみが200%に達するとシランカップリング剤配合の有無に関わらず、不可逆な散乱プロファイル変化を示した。また、シランカップリング剤未配合のゴムは、せん断変形による散乱プロファイルの変化が大きくなった。これらの散乱プロファイルの変化は、繰り返しせん断変形における応力-ひずみ曲線より得られるリサージュ面積の変化に対応することから、フィラー充填ゴムのエネルギーロスは、変形に伴うフィラー構造の変化に起因することが示唆された