抄録
化学気相堆積(CVD)法により成長した Ge/Si コアシェルナノワイヤおよびレーザーアブレーション法で成長した Si ナノワイヤ中の不純物の顕微赤外分光を行った。コアシェルナノワイヤに関しては、Si シェル層に p 型不純物のボロン(B)がドーピングされており、Ge コア領域には不純物がドーピングされていない。B ドープ Si ナノワイヤの場合においては、B の局在振動ピークおよび B の 1s-2p および 1s-3p の電子遷移による吸収を観測できた。通常の赤外分光では観測困難であったが、SPring-8赤外放射光の高輝度性を生かすことで実現できた成果といえる。一方、コアシェルナノワイヤにおいては、ラマン分光により Ge 層へのホールガスの蓄積を観測できていたが、SPring-8の赤外放射光を利用しても観測できなかった。Si シェル層内の B の濃度とコアシェルナノワイヤの密度調整が必要であるといえる。