抄録
ウサギ骨格筋から作成した skinned fiber の high-Ca rigor 状態での ramp-shaped release に対する力学的反応時の構造変化を X-ray diffraction の技法によって調べたところ、EDTA(10mM)の有無に関わらず、(1)赤道反射強度比[I(1,1)/I(1,0)]と 1,0 反射の間隔(spacing)は release 後では有意に増大した。(2)actin 由来 5.9 nm 層線は赤道線方向の lateral spacing が 0.05/nm より内側では強度変化は殆ど見られないのに対して 0.05/nm より外側では強度が低下した。Actin 由来層線の強度分布は、子午線から遠ざかるにつれて、アクチンフィラメントのらせん軸により近い部分の構造を反映する。したがって、ramp-shaped release により変化するのは、アクチンに結合するミオシン頭部のアクチン結合部位付近の微細構造と考えられた。