SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section C
マイクロ集光硬X線光電子分光実験のための高速ポジショニングシステムの開発
保井 晃池永 英司中村 哲也
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 8 巻 2 号 p. 445-448

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抄録
硬X線光電子分光(HAXPES)計測による局所電子状態解析を、より効率化するための高速ポジショニングシステムを開発した。具体的には、本システムは光電子アナライザーの印加電圧を固定した状態で特定の光電子強度を計測しステップスキャンすることで、高速元素/形状マッピングを実現するものである。永久磁石など不均一性の大きい試料に対して硬X線マイクロビームを用いた HAXPES 計測を行う際に、特定の内殻ピークを用いて高速に目標測定位置を探索できるシステムの開発が望まれていた。本研究で開発された二次元スキャンシステムは、従来のものに比べ約 1/40 の時間でスキャンできるため、ビームタイムの有効活用に繋がる。本システムは元素戦略プロジェクトで研究されている Nd-Fe-B 永久磁石だけでなく、物質中のドーパントの局所化学結合状態分析など、集光ビームを用いた光電子分光実験に対し広く役立つものである。
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