抄録
可視域の磁気カー効果では、磁性体試料の表面での光反射にともなう偏光状態の変化を検出している。X線磁気円二色性 (XMCD) 測定では、透過法と蛍光法での測定が主であり、反射光を用いた測定はこれまでにほとんど行われていない。反射光を利用した XMCD 測定は、スピントロニクス材料等の薄膜試料の元素選択的な磁性評価に役立つと期待される。本研究では、硬X線領域での斜入射・全反射配置の XMCD 法を開発した。Pt/Co 二層膜に対して全反射 XMCD 法を適用し、厚さ 1 nm の Pt 薄膜に対して良好な統計精度の XMCD スペクトル、および元素選択的磁化曲線を得ることができた。