抄録
骨粗鬆症治療薬である副甲状腺ホルモン PTH は、骨吸収や骨形成を促進することが知られている。しかし、連続投与すると骨吸収促進作用があるとされている。本実験では、成長板直下における軟骨小腔や一次海綿骨の石灰化を反映した3次元画像を取得して解析し、その機序の解析を試みた。PTH 非投与群では、肥大軟骨小腔の横中隔基質と縦中隔基質が吸収され、血管と骨髄が軟骨小腔に侵入し、石灰化肥大軟骨は吸収され、一次海綿骨が形成された。この経過は軟骨内骨化における不可欠の過程である。一方、PTH 連続投与群では、横中隔基質が石灰化し、肥大軟骨小腔が残存し、内部は低石灰化骨で満たされた。横中隔基質の石灰化により血管が侵入できず、破骨細胞が形成されない結果、骨吸収が抑制された。石灰化軟骨が一部残存し肥大軟骨小腔に低石灰化骨が形成され、石灰化骨への置換に障害をきたした。