抄録
プロトン伝導性固体電解質から供給されるプロトンが誘起する酸化還元反応を利用して酸化グラフェンの酸素官能基を制御する固体イオニクスデバイスの動作機構の調査のため、硬X線回折を利用して電圧印加状態での in-situ 観察を行った。印加電圧の極性に対応して還元反応では酸素官能基の減少およびそれに伴う吸着水の脱離による層間距離の減少、逆に酸化反応では層間距離の増加が予想されたものの、印加電圧に依存しない回折ピーク強度の低下が認められた。硬X線 XPS の測定結果と考え合せると、X線照射のダメージに起因する酸化グラフェンのアモルファス化が進行したものと考えられる。