SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
Section C
様々なバンチモードでのシリコンドリフト検出器の線型性評価
鈴木 基寛
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 9 巻 4 号 p. 247-252

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抄録
 蛍光 XAFS や蛍光 XMCD (X線磁気円二色性) 測定では光子計数計測が広く用いられている。放射光源の高輝度化により、蛍光X線検出器への入射光子計数率が数10万 cps 以上の条件での測定も一般的となっているが、このような高い計数率では数え落としによる検出器の線型性の低下が顕著になる。また、数え落としの度合いは検出器自体の性能だけでなく、放射光X線の時間構造、すなわち蓄積リングのバンチ構造にも依存する。正しいデータを得るためには、線型性の実測データに基づく補正が必須となる。本課題では、BL39XU ビームラインで蛍光 XMCD 測定に用いられるシリコンドリフト検出器の線型性をバンチモードごとに評価した。5種類の異なるバンチモードに対する較正曲線と不感時間の実測データを得た。不感時間を考慮した補正を行うことで、光子計数計測には不向きとされている孤立バンチモードにおいても 0.8 Mcps の計数率まで 3% 以内の線型性が確保できることが示された。
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