SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
9 巻, 4 号
SPring-8 Document D 2021-011
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
Section A
  • 梅名 泰史, 川上 恵典, 河野 能顕, 山本 雅貴, 神谷 信夫, 沈 建仁
    2021 年 9 巻 4 号 p. 177-181
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     光合成で働く光化学系 II 蛋白質(PSII)の活性中心 Mn4CaO5 クラスターの Mn は III 価と IV 価と考えられているが、具体的な各 Mn の価数は議論中である。本研究では、Mn の K- 吸収端波長で測定した異常分散項の電子密度マップから価数の分析を計画した。しかし、不均一な厚みの結晶ではX線吸収が変動するため、異常分散項の測定精度が課題であった。本研究は、UV レーザー加工機によって PSII 結晶を円柱状に加工することで回折強度データを改善した報告である。
  • 降幡 順子, 石田 由紀子, 岩戸 晶子, 神野 恵, 清野 陽一, 丹羽 崇文, 伊奈 稔哲, 宇留賀 朋哉
    2021 年 9 巻 4 号 p. 182-187
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     奈良三彩・緑釉陶器胎土の焼成条件・色調・化学組成と鉄の化学状態に関する情報を得るため、非破壊で XAFS 測定をおこなった。硬質胎土(焼成温度が高い)の緑釉陶器、須恵器等ではこれらに相関が認められる資料が多いことが確認できたが、軟質胎土(焼成温度が低い)の奈良三彩・鉛釉陶器・施釉瓦は、鉄価数と胎土色調・化学組成に相関が認められない資料があることがわかった。胎土に元々含まれている鉄以外の影響として、埋蔵環境中にある「鉄気(かなっけ)」が胎土に浸漬したと仮定し、発掘現場の鉄気を含む湧水に、新たに作製した焼成温度の異なる参照試料を15か月間浸漬し XAFS 測定を実施した。その結果、焼成温度が低い参照試料では、表面から 0.1~1 mm 深さで僅かに異なるスペクトルが得られた。
  • 篠田 弘造, 飯塚 淳, 柴田 悦郎
    2021 年 9 巻 4 号 p. 188-191
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     希土類に分類されるスカンジウム(Sc)は、合金添加剤等に用いられる工業上重要な元素でありながら、ほとんど他種金属の副産物として産出する。そのため、Sc を効率的に選択分離する技術の確立が求められている。本研究では、ジグリコールアミド酸型官能基を導入した樹脂による Sc の選択吸着について、樹脂に吸着した各種金属イオンの配位構造の視点から検討を行うため蛍光収量 XAFS 測定および構造解析を試みた。その結果、Sc の樹脂中における吸着部位は La および Ce と同一であることが示唆され、Sc の選択吸着分離は吸着構造そのものの特異性というわけではなく、吸着の結合力など構造以外の要因によるものという可能性が示された。
  • 松尾 恭平, 諌山 康平, 安田 琢麿
    2021 年 9 巻 4 号 p. 192-194
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     円偏光発光 (CPL) 特性を示す有機発光ダイオード (CPL-OLED) は 3D ディスプレイや光暗号通信などへの応用が期待されているが、高い CPL 特性と OLED 発光効率を兼ね備えた優れた発光材料はいまだ限られている。今回、CPL 特性を示す新規有機化合物の絶対構造の決定を目的とした単結晶X線構造解析を行った。測定の結果、十分な精度のX線回折データを得ることができず、絶対構造の決定には至らなかった。
  • Christopher Kohlmann, Lukas Kesper, Richard Hönig, Takayuki Muro, Yasu ...
    2021 年 9 巻 4 号 p. 195-199
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     Photoelectron holography (PEH) is a long proposed technique for atomic structure analysis of crystalline samples. Due to a direct reconstruction of the long ranged periodic atom lattice, the atom positions as well as information about the chemical state in which one atom is bound, can be determined. This method revolutionizes the field of solid state structure analysis, as it is the first direct three dimensional structural probe for the subsurface region. Here we present a proof of principle study of our three dimensional image reconstruction algorithm by means of chemical sensitive photoelectron holography[1]. We measured the high energy angular x-ray photoelectron spectra of the iron 3p orbital signal (Fe3p) and the sulfur 2s orbital signal (S2s) for the hemisphere above a pyrite crystal sample, to capture the hard x-ray photoelectron diffraction (HXPD)patterns. Those patterns contain the holographic information of the crystal’s lattice structure and the chemical states of the lattice atoms. Unfortunately, the requirements of the reconstruction algorithm, in terms of resolution and alignment, were not met by the resulting experimental data. We have identified the key issues that impede the successful reconstruction and give an outlook on how a future HXPD experiment could be designed.
Section B
Section C
  • 鈴木 基寛
    2021 年 9 巻 4 号 p. 247-252
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     蛍光 XAFS や蛍光 XMCD (X線磁気円二色性) 測定では光子計数計測が広く用いられている。放射光源の高輝度化により、蛍光X線検出器への入射光子計数率が数10万 cps 以上の条件での測定も一般的となっているが、このような高い計数率では数え落としによる検出器の線型性の低下が顕著になる。また、数え落としの度合いは検出器自体の性能だけでなく、放射光X線の時間構造、すなわち蓄積リングのバンチ構造にも依存する。正しいデータを得るためには、線型性の実測データに基づく補正が必須となる。本課題では、BL39XU ビームラインで蛍光 XMCD 測定に用いられるシリコンドリフト検出器の線型性をバンチモードごとに評価した。5種類の異なるバンチモードに対する較正曲線と不感時間の実測データを得た。不感時間を考慮した補正を行うことで、光子計数計測には不向きとされている孤立バンチモードにおいても 0.8 Mcps の計数率まで 3% 以内の線型性が確保できることが示された。
  • 鈴木 基寛, 河辺 健志, 三輪 真嗣
    2021 年 9 巻 4 号 p. 253-256
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     BL39XU では、ヘリウムフロークライオスタットの導入により、磁性薄膜の XMCD 測定の温度範囲の拡張を進めている。本研究では、温度可変環境での蛍光 XMCD 測定システムの性能評価を行った。8 K, 302 K, 500 K の3温度において、Pt L 吸収端での XMCD および元素選択的磁化曲線が良好な精度で得られることが示された。測定中の温度安定性は 0.1 K 以内であり、試料位置の温度ドリフトは 0.1 mm 以内であった。連続膜の測定では問題とならないが、微細加工したデバイス試料に対してはさらなる位置安定性の改善が必要である。本研究によって、8 K から 500 K の温度可変環境での蛍光 XMCD 測定システムを利用実験に提供できる見込みが得られた。今後、本システムはスピントロニクス材料の XMCD 分光やその外場効果の温度依存性の研究に用いられる。
  • 大渕 博宣, 本間 徹生
    2021 年 9 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     低温雰囲気下における XAFS 測定の高効率化及び利便性の向上を目的に、低温 XAFS 測定を自動化するプログラムを改良した。これにより測定温度が最大で 20 点、試料数が最大で 15 個の低温雰囲気下での XAFS 測定を自動で行うことが可能となった。また、試料ホルダーの原点位置決めの自動化、ログファイルへの測定開始・終了時の試料ホルダー温度の記録、試料毎のX線スリット幅の設定ができるよう変更を行った。
Section SACLA
  • 犬伏 雄一, 小川 奏, 富樫 格, 大和田 成起, 井上 伊知郎, 大坂 泰斗, 籔内 俊毅
    2021 年 9 巻 4 号 p. 262-265
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では、高強度レーザーで生成した銅のプラズマをゲイン媒質としたX線増幅実験を実施した。プラズマにタイミングを合わせて XFEL を入射することで、銅の Kα 線と同じ光子エネルギーにおいて、600 meV の幅の増幅スペクトルが得られた。その最大の増幅率はおよそ12倍であった。今後、この増幅の物理機構を明らかにすることで、新たな高出力X線レーザー実現に役立つことが期待される。
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