抄録
鉄鋼材料の等温保持の相変態挙動の観測技術確立を目的として、高エネルギー放射光を用いて Fe-C モデル鋼について冷却および等温保持過程の高温その場測定を実施した。試料はガス浮遊法で浮遊回転し、酸化などの表面変質の影響を抑制すると共に、平均的な情報を取得した。降温と 450℃ 付近での等温保持の初期にはフェライト相の体積分率が増加し、等温保持中にフェライト相分率が約 80% で一旦変態が遅滞したのちに最終的にほぼ 100% 変態が完了する様子が観測され、等温保持に因る相変態のその場観察に成功した。一方で、オーステナイトからフェライト変態時の中間相である HCP 相 観測にはガス浮遊に因る温度揺らぎが課題であることが判明した。