臨床実践能力向上を目的として開講した看護専門科目において多重課題演習を実施し、その評価のため、学生を対象とした自記式質問紙調査を行った。質問項目は、臨地実習での技術経験の程度、臨床実践能力として、看護実践能力尺度及び多重課題への対応に関する自己評価を問う内容とした。分析は記述統計量を算出し、臨床実践能力の演習前後の比較にはMann-Whitney U検定を行った（有意水準p<0.05）。
参加者は47名であり、演習後には、看護実践能力尺度の4項目と多重課題への対応に関する自己評価の2項目で有意な上昇がみられ、演習は計画的ケア能力や臨床的ケア能力の向上に効果があったと考えられた。しかし、状況に応じた協力の依頼や、連絡・報告の必要な状況の理解に関しては変化がなく、連携能力や臨床判断も含めた臨床実践能力の向上へ資する教育は今後の課題である。
