2022 年 13 巻 1 号 p. 13_57-13_61
【目的】経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)症例の退院時Activities of daily living(ADL)に着目し,術前の身体機能,認知機能が退院時のADLを予測する因子であるかを検討した。【方法】単一施設の横断研究を実施した。対象は,2016年2月から2019年11月までに当院でTAVIを受け,機能評価が可能であった連続96症例であった。術前の身体機能はShort Physical Performance Battery(SPPB),認知機能はMini-Mental State Examination(MMSE)を測定した。ADLは術前と退院前にBarthel Index(BI)を測定した。退院時のBIが80点以上と未満の2群に分類した。退院時のBIを予測する因子を検討するためにロジスティック回帰分析を適用した。【結果】年齢の中央値と四分位は86(84-88)歳,男性は27.6%であった。術前のSPPBは8(5-10)点,MMSEは24(21-28)点,術前と術後のBIは85(80-96)点と85(80-95)点であった。ロジスティック回帰の結果,術前のSPPBは有意に退院時のBIと関連する因子として抽出された(オッズ比;0.10,95%信頼区間:0.01-0.86,p=0.04)。【結論】TAVI症例において,術前の身体機能は退院時のBIと関連したが,認知機能は関連しなかった。