2024 年 15 巻 1 号 p. 15_33-15_37
【目的】中枢性感作の有無における変形性股関節症患者の自律神経活動を検討すること。【方法】2021年6月~翌年4月に外来通院中の変形性股関節症患者を対象とした。中枢性感作の有無はConditioned pain modulationで判別し,8名をなし群(73 [64-75] 歳,女性7名),3名をあり群(71 [70-76] 歳,女性1名)とした。安静座位10分後,認知負荷を2分間実施した。安静時,認知負荷時の交感神経指標(LF/HF),副交感神経指標(HFnu)を計測した。両指標は認知負荷時を安静時で除し,LF/HF indexとHFnu indexで表した。Fisherの正確確率検定にて群間差を検討した。また,CPM indexとLF/HF index・HFnu indexの相関係数を求めた。【結果】中枢性感作なし群のLF/HF indexは186 [156-396] %,あり群は36 [33-61] %であった。HFnu index はあり群79 [37-85] %,なし群159 [136-194] %であり,LF/HF indexとHFnu indexに群間の有意差が得られた(両方p=0.024)。一方で,CPM indexとLF/HF index・HFnu indexに有意な相関はなかった。【結論】中枢性感作あり群となし群では認知負荷時に自律神経活動に正反対の反応が得られた。今後,症例数を増やし,より確かな結果を導きたい。