2013 年 4 巻 1 号 p. 4_23-4_26
近年,がん患者のリハビリテーションの必要性が訴えられており,理学療法士ががん患者に関わる機会は増加している。しかしながらがん脊椎骨転移患者の歩行機能予後やリハビリテーションの実施経過に関するリスク管理やプログラムについてはいくつか症例報告が散見されるが,報告数は少ない。今回,がん脊椎転移が脊髄を圧迫し感覚障害を中心とした神経症状を生じていた症例に対して2か月半にわたる理学療法を施行し歩行自立に至ったので以下報告する。症例は96歳男性。前立腺癌,第1胸椎骨転移により脊髄が圧迫され,重度の表在覚鈍麻・深部覚鈍麻を生じ,両下肢筋力低下は軽度であったが立位保持,歩行は困難であった。放射線加療及びホルモン療法を受け,骨転移部位の画像を評価の上で転移部の不安定性に対する生活指導,転倒予防対策などを行い,入院臥床に伴う筋力低下をきたさぬよう2か月半の理学療法を行った。退院時,表在・深部感覚障害は軽度残存,両下肢筋力に変化なかったが,無杖歩行が見守り下で可能となった。