2013 年 4 巻 1 号 p. 4_19-4_22
両腸脛靭帯炎,両鵞足炎,両膝蓋靭帯炎と診断された陸上部長距離選手において,走行時の右膝内側の疼痛に対して介入し,効果を得た。疼痛は右膝内側の筋付着部に生じており,同組織への牽引ストレスが疼痛の誘因であると考えた。右膝内側にある組織への牽引性ストレスは,knee inによって増大するといわれており,本症例においても走行動作時にknee inの不良肢位が観察された。本症例におけるknee inの原因である足部からの影響と,体幹からの影響からの2点に着目してアプローチを行ったところ,疼痛が改善し,部活へ完全復帰することができた。スポーツ障害において,疼痛部位の炎症など,単関節における発痛因子を治療するだけでは治療効果を得られないことがある。その際に,スポーツ動作における隣接関節からの影響も踏まえた,疼痛への寄与因子を考慮して治療することが重要である。